都会にもどってきたクロベンケイガニ
(R6.2.1配信)
※今回の記事は京都芸術大学で堺市のクロベンケイガニについて研究されている大学院生の方から提供いただいたコラボ記事となります。
みなさんはクロベンケイガニを知っていますか?
カニというと海やきれいな川の上流を思いうかべる人も多いかもしれませんが、堺のまちなかにすんでいるカニもいるんですよ。
今回は堺のまち、都会にすむクロベンケイガニをしょうかいします。
堺のまちと土居川・内川
堺の旧市街地は、江戸時代のはじめにほられた「ほり」で囲まれていました(環濠都市と呼びます)。
ほりができたころは、川の水やわき水が流れこんでいて美しい水が流れていました。
しかし、だんだん水が少なくなり、人がふえて生活はい水もたくさん流れこんだので、ドブ川と呼ばれるくらい、くさくてきたない川になりました。
ヒトもいきものも近づかない川でした。
今では、下水道の整備と、下水処理場できれいにした水をショッピングモールで再利用した後のはい水(内川の起点)や、仁徳天皇陵のほりからの水(土居川の起点)、海からポンプでくみ上げた海水(土居川の起点と鷺橋付近)など、人工的にたくさんの水を流す工夫をして、水がきれいになってきました。
ボラやフグが泳いでいるのをよく見かけるようになりましたし、堺市の調査ではニホンウナギも見つかっているんですよ!
クロベンケイガニのプロフィール
分類
十脚目ベンケイガニ科
大きさ
甲幅、甲長とも4㎝ほど
見られる場所
河口近くのしっ地、草原、水田など
とくちょう
あしにたくさん毛がはえている。
たん水と海水が混ざる汽水域にいるが、水がきらいで河口付近の土手に穴をほってすんでいる。
魚や動物の死体を食べる肉食と考えられていた。
最近の研究ではかれた木や落ち葉などを食べて分解する、ダンゴムシと同じような食性であることがわかってきた。
クロベンケイガニのすみか
では、クロベンケイガニは堺のまちのどこにいるでしょうか?
海水とたん水の混ざる場所・・・
そう、土居川の起点付近は仁徳天皇陵からのたん水と、海からくみ上げた海水が流れこむ場所です。
そしてこの場所の近くにはお寺の森もあり、クロベンケイガニが穴をほる場所も、エサとなるかれ木や落ち葉もそろっています。
都会の一角にクロベンケイガニのパラダイスがあるなんて!!
知らないうちにいなくなって、もどってきたクロベンケイガニ
クロベンケイガニは汽水域ならどこにでもいるめずらしくないカニなので、あまり注目されていませんでした。
堺のまちが発展していく中で、穴をほる場所がへり、水もよごれてクロベンケイガニがいなくなったことに、堺のひとたちは気づいていませんでした。
みんなが、やっぱりきれいな川のほうがいい!と考え、川の水をきれいにする工夫をつづけていたら、知らないうちにクロベンケイガニがもどってきてすみついていたのです。
みなさんのおうちの近くでも、「こんなところに、いきものはいない」 と思いこんでいる場所に、知らないうちにいきものがすみついているかもしれません。
作成:中務 亜紀
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